仮想通貨のボラティリティ分析

 仮想通貨が暴落している.イーロン・マスクの発言もあるが,何といっても中国での規制が一番の要因であろう.僕はSBIVCトレードを使っていて,買えるのはBTC,ETH,XRPのみだ.どれも将来性があるように思えるが,技術的なことがよくわからないので,今後勉強していきたい.勉強のモチベーションのために3つほぼ均等に少しずつ保有している.少額保有でも週末は株式市場が開いていないので仮想通貨に夢中だ.どれぐらい夢中かというと,EGARCHモデルを推定してボラティリティの非対称性を検証するほどである.たまには本当に金融工学を駆使している様をブログに記録してみたい.

今回のデータは円建てのBTC,ETH,XRPの日次データで期間は2019年1月1日から2021年5月24日までとした.

図1:BTCの日次収益率

図2:ETHの日次収益率

図3:XRPの日次収益率


図1はBTCの日次収益率(変化率)の時系列プロットである.2020年のコロナショックで50%近い下落があることがわかる.BTCの場合は直近の暴落並みの下落はザラにある.他方上昇の方は20%以内に収まっている.ETHに関しては直近の下落が過去の下落と比較してもかなり大きいことがわかる.XRPは2020年下旬にボラティリティが大きくなっている.SECがリップル社を提訴した2020年12月23日の下落はコロナショックより大きい.

これら3系列の日次収益率についてEGARCHモデルを推定した.EGARCHモデルはファイナンスでよく用いられるモデルでボラティリティの非対称性を捉えることができる.毎日株価をチェックしている投資家なら実感しているように,株価は下落するときは激しく下落し,上昇するときはわりとじわじわと上昇する.すなわち,下落局面のボラティリティは大きく,上昇局面のボラティリティは小さい.

(14)式中のアルファが統計的に有意に負の値であれば,上記の非対称性があることになる.ごちゃついた式にみえるが,過去のリターンzに絶対値がついているのでその正負でボラティリティの式が変わるというのがざっくりした説明となる.今回の場合だとBTCについてはアルファは有意にマイナス,ETHとXRPについてはアルファはマイナスだったが有意ではなかった.つまり,BTCはボラティリティの非対称性があるが,ETHとXRPにはボラティリティの非対称性はみとめられない.この結果をグラフで表したものがニュースインパクト曲線というもので,それぞれ以下のような結果になった.
図4:BTCのニュースインパクト曲線

図5:ETHのニュースインパクト曲線

図6:XRPのニュースインパクト曲線

ニュースインパクト曲線は横軸に前日のリターン,縦軸に次の日のボラティリティをとったものである.BTCについては前日のリターンがマイナス方向に大きく振れたときほどボラティリティが大きくなっていることがわかるが,ETHとXRPに関しては前日のリターンの正負は関係なくゼロから離れたときに正負同程度にリターンが大きくなっている.

今回の分析では,BTCは「落ちるときはあっという間,上がるときはじわじわ」という,株などでよくみられる値動きをするが,ETHとXRPについては必ずしもそうはならず,上がるときもじわじわというよりは激しく上がるということが確認できた.

Reference

コメント

  1. BTC:ARMA(4,3)-EGARCH(1,1)
    ETH:ARMA(4,2)-EGARCH(1,1)
    XRP:ARMA(2,4)-EGARCH(1,1)
    BICで選択

    返信削除

コメントを投稿

このブログの人気の投稿

債券は株の暴落をヘッジできるのか?

新NISAオルカン積立のみで億り人になる確率

イールドカーブの主成分分析による現時点での米国債投資判断